日本語文法指導

日記・作文

誤りのある文の直し方

はじめに   誤りのある文を直すとき、どのようにしていますか? 「ここは間違っているよ。正しい文はこうだよ」と、訂正した正しい文を見せて、「このように直してみて。それを読んで覚えよう。今度は間違えないようにしようね」と模範の文を書かせて終わ...
視覚教材

「日本語、苦手」という幼児への助詞指導法

「音声言語が身についていない難聴幼児に助詞の習得は無理」と、医師やSTの方がおっしゃるのを耳にすることがあります。音声で会話ができるというhearingやspeech(いわゆる話しことば)のレベルとlanguage(言語とくに内言語・書きこ...
位置詞

位置詞の指導~小3社会単元「わたしたちのまちと市」を通して(教育実践)

ここで紹介する日本語文法指導の実践は、令和5年度文部科学大臣賞を受賞した沖縄ろう学校小学部教員伊波興穂先生の実践です。第1回目は国語での実践(「自動詞・他動詞の指導~小3国語単元『まいごのかぎ』を通して」)を紹介しましたが、今回は社会科での...
インテグレーション・通常学級・難聴学級・通級指導

主体的・対話的で深い学びの実現に向けて~障害認識を深め自己肯定感を高める指導の工夫を通して(教育実践)

今回紹介するのは、令和5年度文部科学大臣賞を受賞した那覇市立安謝小学校難聴学級担任高良千恵子先生の実践です。この学級の児童はS児1名のみ。現在5年生で左右とも聴力100dB補聴器装用です。小1入学時より高良先生が担任し今年で5年目になります...
日本語文法指導

自動詞・他動詞の指導~小3国語単元「まいごのかぎ」を通して(教育実践)

ここで紹介する日本語文法指導の実践は、令和5年度文部科学大臣賞を受賞した沖縄ろう学校小学部教員伊波興穂先生の実践です(今回は国語での実践、第2回目は社会科での実践を紹介します)。 きこえない子どもたちは、自動詞(例「あく・しまる」)と他動詞...
日本語文法指導

幼児期からどうやって動詞をふやす?~その2

幼児期での動詞語彙の増やし方や動詞活用の学び方について、「幼児期の動詞語彙の増やし方(1)」で、①会話の中で、②絵日記の中で、③ことば絵じてんの中で、という3つの方法について紹介しましたが、今回は、④ことばあそびを通して動詞の語彙や活用を身...
日本語文法指導

文法指導の底力!~難聴学級&ろう学校教員3人が文部科学大臣賞同時受賞!

子どもたちの成長発達を支え、著しい成果をあげた教育実践に対して、それを担った優秀教職員ということで毎年、特別支援教育の分野からも表彰される先生方がいます。今年は沖縄県から二人、福岡県から一人の計三人の先生が文法指導を実践し、子どもたちの日本...
ことば絵じてん

幼児期からどうやって動詞をふやす?~その1

はじめに   前回、ある保護者の方から質問をいただきました。要約すれば、「①重度難聴のわが子は動詞の語彙数が少ないと思うがどうやって増やせばよいのか? また、②小学校入学頃までに動詞の語彙数はどのくらい必要なのか、さらに、③獲得語彙数はどう...
動詞

動詞語彙数、どうやって調べる?~「動詞語彙チェック30」の使い方

保護者からの質問  「わが子は聾学校幼稚部年長組に通っていますが、先日、獲得している言葉の数、とくに動詞が少ないこと、動詞が少ないと文が読めないと言われました。わが子は聴力100dB補聴器装用で手話で会話することが多く、中等度難聴や人工内耳...
あそび・教材

幼児に助詞を教える方法~「助詞カード」であそぼう!

はじめに~助詞はどのように指導すればよいか?  「が」「は」「を」「に」「で」「と」「の」といった助詞はそれだけ単独に取り出しても意味を持ちません。助詞は語と語の間にあって、それらの関係をあらわす「機能語」なので、文の中でしか使えませんし、...
名詞修飾

名詞修飾の教え方~低学年でクリアしておきたい文法事項

日本語の特徴の一つは、修飾語句が文の前に前に(横書きでは左へ)と展開していくことです。この点は、関係代名詞をつけて後ろへ(横書きなら右へ)展開する英語とは逆です。 例えば、以下のような文があるとします。 1.「私は 運動会に 行った。」  ...
日本語文法指導

受動文の指導(2)~直接受動文から間接受動文へ

きこえない子にとって難しい文法項目の一つに「受動文(受身表現)」があります。実際、聾学校小学部低学年の段階では、半分以上の子どもが受動文がよくわかっていません。「受身」という「動作を受ける側に立った表現」が理解できないのです。その実態につい...
助詞

『白いぼうし』(国語4年上)を通して読みとる助詞の「に・で・を」

文章を正確に読み取るために文法知識は必須です。例えば「宙に舞う」「宙で舞う」「宙を舞う」。この3つの「場所」に関わる助詞「に・で・を」は、文にどのような意味の違いをもたらしているのでしょうか? ここでは、国語小4上(光村図書)の単元『白い帽...
名詞修飾

教科書の文を「名詞修飾」にしよう!~聾学校小学部2年国語授業から

名詞を詳しく説明するときの日本語の特徴 修飾する語句が修飾される名詞の前にくる   日本語では、ある名詞について詳しく説明するとき、文をその名詞の前にもってきます。これを名詞修飾といいますが、その修飾語句は理論的にはいくらでも長くしていくこ...
日本語文法指導

エッ?!日本語にも文型があるの?~知っておきたい日本語5つの基本文型

日本語の基本構造  私達が日々、話したり、読んだりしている文は、決まった文の形でできているのでしょうか? もしそうだとしたら、その文型はどのようなものでしょうか? 日本語の基本的な構造は、まず、述部(述語)と複数の成分があって、その述部と成...
手話

「ドアがあける?ドアがあく?」~手話を活用した自動詞・他動詞の学習

動詞には自動詞と他動詞という二つの種類があります。例えば「あく」と「あける」。よく似ているのでどっちがどっちか難聴児はしばしば混乱します。まず二つの動詞の性質の違いについて学ぶことから始めましょう。そのときに、手話の文法を使って体ごと覚える...
日本語文法指導

受動文の指導(1)~順序を踏まえて指導しよう

受動文には二種類ある~直接受動文と間接受動文  受動文は、日本語ではごく自然に用いられ、私たちにとってはなじみ深い表現の方法です。幼児でも兄弟げんかで弟が「兄ちゃんにぶたれた~」などと泣いていたりしますし、私たちも「雨に降られてびしょびしょ...
日本語文法指導

動詞の指導(1)~動詞、どれくらい身についてる? 

きこえない子が身につける語彙数は、きこえる子と較べると圧倒的に少なく、とりわけ動詞の獲得数が少ないということが知られています。JCOSS(ジェイコス)(「日本語理解テスト」)という幼児期から使える検査でも、確かに名詞(事物名詞)、形容詞、動...
日本語文法指導

動詞の指導(2)~動詞活用の指導方法

動詞の活用は国文法では、5つに分けています。しかし、子どもに教える時にはこんなに細かくする必要はありません。日本語指導では下のように3つに分けます。   1グループ・・・国文法五段活用   2グループ・・・国文法上一段活用、下一段活用   ...
日本語文法指導

助詞の指導(1)~助詞理解度の評価・助詞テストを使ってみよう!

実態の把握  子どもが助詞をどの程度理解しているか、その把握はとても重要です。子どもの今持っている力がつかめないと、どこからどのように指導を進めるか指導の計画が作れません。また、指導したのちどれだけ伸びたかも測ることができません。そこで、実...
日本語文法指導

助詞の指導(2)~助詞「が」の指導方法

日本語の文には、基本的な文の型が5つあると言われています(上図)。これらの文型に使われている要素を「必須成分」と言います。使われている助詞は「が、を、に、で、と」の5つ。これらの助詞は、私たちが何かを言いたい・伝えたいと文を作るとき、必ず使...
日本語文法指導

助詞の指導(3)~助詞「が・を」の指導方法

先に述べた基本文型のうち「が」と「を」を使うかたち(第2文型)の指導になりますが、この文型は、助詞「が」のみを使う第1文型とならんで使用頻度の高い文型で、幼児の絵日記とくに年少の頃、この文型は「動作動詞」と共に多用されています(絵日記では主...
日本語文法指導

助詞の指導(4)~助詞「に・で・を」の指導方法

前回までに助詞「が」、「が」と「を」の指導法について説明しました。ここからは「手話」と関連付けた指導法になります。ということは、手話を使わない聴覚口話法の立場からは想像できない指導法ということになります。聴覚口話法は自然法なアプローチを基礎...
日本語文法指導

助詞の指導(5)~助詞「と」の指導方法

助詞「と」の指導   助詞「と」には、いわゆる格助詞と接続助詞の二つの種類があります。接続助詞というのは、「春が来ると、花が咲く」などのように、単文と単文をつなぐときに使われ、「~が来ると」のように動詞基本形+「と」のかたちで使われます。こ...
日本語文法指導

「将来の夢はろう学校の先生」~重度難聴のS子との3年半の記録(難聴学級)

「重度難聴のS子さんが入学します。立ち上げの難聴学級担任をお願いします。」20××年3月、突如、難聴学級担任と告げられた私は、聴覚障害について何も知らないまま、その後わずか数日で難聴学級担任としての生活がスタートした。  4月に入って入学式...
動詞

絵でわかる動詞の学習

このワークブックは、日本語のベースになっている動詞の語彙の拡充と多様な活用を学習するためのテキストです。日本語では、話者が最も伝えたいことは文末に来ますが、文末に最も多く来るのが動詞です。ですから動詞の語彙が少なかったり、活用の仕方をしらな...
日本語文法指導

第26回 文のかたち~五つの基本文型(14分)

今回の学習内容 文の「述部」と「情報」  まず、文は文末の「述部」(=述語)が土台になっています(上図)。その土台の上に、必要な「情報」が加わり、「情報」と「述部」の関係を明示するために「(格)助詞(=ここでは関係助詞と呼んでいます)」がつ...