助詞の指導(3)~助詞「が・を」の指導方法

日本語文法指導
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 先に述べた基本文型のうち「が」と「を」を使うかたち(第2文型)の指導になりますが、この文型は、助詞「が」のみを使う第1文型とならんで使用頻度の高い文型で、幼児の絵日記とくに年少の頃、この文型は「動作動詞」と共に多用されています(絵日記では主語は本人とあらかじめわかっているので「~が」は省略されます)。

非可逆文「~が~を」を使って指導します

  Jcoss(日本語理解テスト)の検査の最初から6項目に「3要素結合文」というのがありますが、この項目は「非可逆文」になっています「非可逆文」というのは、上図のような、意味的にはあり得ない(逆はあり得ない=非可逆文)文のことです。例えば、「ぼくが ラーメンを 食べる」。この文の助詞「が」「を」を逆にすると、「ぼくを ラーメンが 食べる」という文になり、意味としてはあり得ないことになります。このように、「が」と「を」を逆にすると意味的におかしな文になってしまうタイプの文のことを非可逆文といいます。

【例文】①「ぼくが ラーメンを 食べる」(意味的に〇)

    ② 「ぼくを ラーメンが 食べる」(意味的に×)

 こうしたタイプの文(非可逆文)は、助詞を抜いても単語だけで意味がわかる(頭の中にイメージが浮かぶ)のが特徴です。このようなタイプの文は、助詞「が・を」がわからなくても意味がわかるので、きこえない子も単語さえわかれば文の意味が理解できます。

 「ぼく ラーメン 食べる」または「ラーメン ぼく 食べる」(助詞ぬきでもOK)

 このことを利用して、助詞「が」と「を」の指導では、まず「非可逆文」を使って指導します。「が」と「を」を逆にすると上図のような実際にはあり得ない絵になってしまうので、子どもは楽しく、「が」と「を」の意味・役割を学ぶことができるからです。そこで、上図のようなナンセンスな絵を使った文をいくつか用意して指導します。

可逆文「~が~を」を使って指導します。

これに対してJ.coss7項目には「置換可能文」というのがあります。これを別の言い方で「可逆文」と言っています。これは助詞が逆になっても文法的にも意味的にもあり得る文(意味的にあり得る=可逆文)という意味です。助詞を逆にすると意味が逆になるので、助詞がわからないと文の意味を正しく理解することができません

 【例文】③「太郎が 花子を 叩く」

     ④  「太郎を 花子が 叩く」 (主語・目的語が逆になっても意味が成り立つ)

 非可逆文で助詞「が」「を」の意味を学んだ子どもは、このような可逆文の中で使うことでさらに理解が深まります。以下は、実際にこのような手順で学習した小学生の事例です。 

【事例】楽しく助詞「が・を」の構文を指導

 今日は助詞「が」と「を」の授業をしました。「B君が先生をたたく」や「先生がB君を追いかける」など、いろいろやってみました。非可逆文のイラストでも学習しました。どちらも大喜びでした。しかも、テキストの練習問題は、全部正解できました。さらに、来週は祝日でお休みだと知ると、振替でやってほしいとまで言ってくれました。楽しい授業の大切さを改めて実感できました。

参考になる記事

☆本ホームページ>YouTube日本語講座>第17回質問文の作り方&助詞「が・を」の使い方https://nanchosien.blog/questionparticle/

 

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