日本語が苦手な子どもは、単語の切れ目や文節の切れ目、また文の中に含まれている修飾語句が一体どこからどこまで続いているのか、その修飾語句がどの名詞を修飾しているのか、区別がつかないことが多いです。語彙力や文法力がつき、幅広くいろいろな知識が身に付いてくると、長い文をみてもその意味をくみ取ることができるようになりますが、日本語力の厳しい子どもは、意図的に指導しないとずっとわからないままに時間だけが経ってしまいます。
このような子どもたちには、文を正しく理解するための文法ルールを教えていくことが必要です。これまで、このYouTube動画では、文中の品詞をカード化し、本来一列の文を、「情報」「助詞」「述部」からなる二次元の図(「構文図」)の中に配列してわかりやすくしてきました。この配列のルールについて、再度整理しておきたいと思います。
今回の学習内容
品詞カード配列の基本的なルールについて以下に説明します。
「情報」のスペース
文を詳しくするところ。いくつでも可。活用しない品詞または「テ形・ク形」の動詞・形容詞。情報間の上下の入れ替えも可。
品詞名 | 配置の可・不可 |
名詞、時数詞、なにで名詞(活用しない品詞) | 〇 |
動詞、形容詞(活用する品詞) | ×(そのままでは不可) |
動詞・形容詞+名詞・時数詞・なにで名詞(名詞句をつくる) | 〇 |
動詞「て形」、形容詞「く形」「くて形」 | 〇 |
助詞「の」(「3時のおやつ」)」(情報内の助詞) | 〇 |
助詞「と」(「母と私」)(情報内の助詞) | 〇 |
助詞のスペース
江副文法では、助詞は2列で配置します(低学年児童の指導には一列で表示することが多い)。二列で表示する時は、以下のような配置になります。
左列(関係助詞) | 「を」「に」「で」「へ」「と」(「友達と喧嘩した」)動詞「テ形」 |
真ん中の線上(情報助詞) | 「が」 |
右列(並列・選択助詞) | 「は」「も」「でも」「さえ」「すら」「すらも」「なり」「だって」 |
述部のスペース
文の土台。いちばん言いたいこと伝えたいこと。文末に1つだけ。先端が尖った活用形のみ置ける(名詞やなにで名詞を文末に置く場合は「だ・です」をつける)。
品詞名 | 配置の可・不可 |
動詞・形容詞(活用する) | 〇 |
名詞・時数詞・なにで名詞(活用しない) | × |
名詞・時数詞・なにで名詞+「です」(助動詞・活用する) | 〇 |
カード配列の手順
- 情報内の助詞で結ばれた品詞は、あらかじめ囲っておく(例「昨日の朝」)
- 文末の動詞・形容詞などを「述部」スペースの右下に置く。(例「食べました」)
- 述部の動詞や形容詞から基本の文型を考える(「食べました」→「~が~を食べる」(基本文型Ⅱ)、「きれいです。」→「~がきれいです」(基本文型Ⅰ)。
- 基本文型から「必須成分」をさがす(「私は」「ハンバーガーを」←「食べました」)
- 随意成分の名詞などの情報を順番に上から並べる。
- それぞれの情報(名詞や名詞句)が、述部とつながって意味的につながるか確かめる。うまくつながらない場合、名詞句の作り方が違っていることが多い。