第30回 「複文」をつくろう!(14分)

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 今回は複文の作り方について学びます。複文とは、ひとつの文の中に、主語・述語の関係が二つ以上ある文のことで、国語教科書の中にも比較的早く出現します。例えば、光村図書国語小1上には、「くちばし」という説明文の単元がありますが(上図)、そのなかに「・・きつつきは、とがったくちばしで、木にあなをあけます。そして、木の中にいる虫を食べます」という文があります。ここには、「木の中にいる虫」と用い方で名詞句が使われていて、虫もたくさんいるけれどそのうちの「木の中にいる虫」と限定する、「名詞句(修飾)の限定的用法」が使われています。ここに主述の関係がひとつあり、さらに、「きつつきは(=文脈からわかるので省略されている)」という主語、「食べます」という述語があり、こちらがこの文の本来の主語と述語になっています。

 いま、名詞句の「限定的用法」と言いましたが、もう一つ「名詞句の非限定的用法」という使い方もあります。それを、以下の日記の宿題の中でみてみたいと思います(下図)。

 小4児童の日記で「複文を使って日記を書いてくる」という宿題が出され、ある児童が上図のような文を書きました。

「私は帰って手を洗っておやつはみかんでした。」

 確かに「私は帰って」「(私は)手を洗って」「おやつはみかんでした。」と、主述の関係が3つ含まれています。この文をまず構文図(情報・助詞・述部の図)を使って表してみると、上図の左のような構造になっていることがわかります。文は、各段の文節が最後の述部にかかっている構造になっていれば正しい文です。各文節を最後の述部「みかんでした」に繋がっているか調べてみると、最後の「おやつは」―「みかんでした」だけが正しいことがわかります。つまり文がねじれていることがわかります。ではどうやってなおせばよいでしょう? 
 まず、この文で一番いいたいことは、「私が みかんを食べた」ことでしょう。ですから、「私は(主語)・・・食べました(述語)」というかたちなるようになおします。それが図の右の構造図の「わたし」と「食べました」です。また、食べたのは「みかん」(目的語)です。ですから、基本の構造は、「私は・・みかんを・・食べました」という基本文型Ⅱになることもわかります。

 また、「(家に)帰ったこと」とか「手を洗ったこと」は、さらに文を詳しくする部分です。これを文の中に入れます。ここで「家に帰った」という部分は「私」自身の様子をさらに詳しく説明する部分ですから、名詞句をつくり「帰った私」とします。でも「帰った私」では少し意味がよくわからないので「家に帰った私」と詳しくします。ここで、いろいろな私がいてその中の「私」ではありませんから、「限定的用法」ではなく、「名詞句の非限定的用法」と言いますこの使い方は、場面の背景的な部分を詳しくしているだけなので、あとのほうに出てくる部分のほうが言いたいことです。つまり大事なのは「私はみかんを食べた」ことです。

 次に「手を洗って」の「テ形」は時間的な順序をあらわし、このまま残してもよいですが、「家に 帰って 手を 洗った私」としてひとつの名詞句にして括ってもよいでしょう。そして「おやつ」である「みかん」を食べたので、ここも「おやつのみかん」として、名詞と名詞をつなぐ「の」を使った「名詞句」を作ります。

 このように「名詞句」や「テ形」を使って、複文で日記が書けるようになるのは高学年の課題ですが、その前に、複文の構造を理解し、複文そのものを作れることが大事なので、ここでは「複文の作り方」を練習したいと思います。

今回の学習内容

名詞句を使って複文を作る

 二つの文(単文=主語・述語が一つ)を一つの長い文(複文)にまとめる練習をします。その時に、どちらかの単文をまず名詞句にします。テキスト1では、「きのう、私が 作った チョコレート」という名詞句を作っていますが、「きのう、チョコレートを 作った 私」という名詞句を作ることもできます(これは自分でぜひ作ってみてください)。そして、作った名詞句をもう一つの文の中に入れて一つの文にします。

動詞を「テ形」にして、複文を作る

  二つ目は、動詞の「テ形」を使って文を一つにまとめる方法です。一つ目の文の述部の動詞は「作った」ですが、これを「作って」としてつなぐ形にして、うしろの文をそこにつなげるだけです。ただ、前の文と重複する言葉があり、また繰り返すとしつこい文になってしまうので省略します。  
 以上、複文作りの方法を紹介しましたが、ぜひ、日記・作文を書く中で実際にやってみるとよいでしょう。

使用テキスト・問題

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