前回は、形容詞の「短い形」を一つ、二つ名詞の前に出して、『大きな名詞(名詞句・名詞修飾)』を作る方法について学習しました。日本語では、名詞を詳しく説明するとき、名詞の前に修飾フレーズをもってくるのが特徴です。そして、形容詞だけでなく、名詞の前に動詞をもってきたり、文をもってきたりもできます。今回は、動詞や文を名詞の前に出して『大きな名詞』をつくる練習をします。
今回の学習内容
「大きな名詞」にしてみよう!
まず、述部にある動詞を名詞の前にもってきて名詞句を作り、そこに続けて文を作ってみましょう。
【テキスト例文】「男の子が ジュースを 買った」
この文の述部動詞を名詞の前に出して、『大きな名詞』を作るには二通りの方法が考えられます。一つは「買った」を「男の子」の前にもってきて『大きな名詞』を作る、もう一つは、「ジュース」の前にもってきて『大きな名詞』を作るかです。
「男の子」の前にもってくれば、下の①のようになりますし、「ジュース」の前にもってくれば②のようになります。こうして作った『大きな名詞』に続けてさらに文を作ることになります。
①「買った男の子」⇒(何を買ったのかわからないので)⇒「ジュースを買った男の子」まで括って『大きな名詞』を作ります。
②「買ったジュース」⇒「男の子が 買ったジュース」・・・。
ここでは、②のほうで文を作ってみました。そうすると以下のような文になります。
「男の子が 買った ジュースを 捨てた」
ところが、名詞句は、どこからどこまでがそのうしろの名詞にかかっているのか、日本語ではそれを示す文法マーカーがありません(英語の場合は関係代名詞があります)。そのため、テキストの図のように、二通りの解釈が成り立つわけです。
ア.男の子が(主語)+「買ったジュース」(目的語・名詞句)を+捨てた(述部)
イ.だれかが(主語省略)+「男の子が買ったジュース」(目的語・名詞句)を+捨てた(述部)
という二通りの解釈です。どちらの解釈が正しいのかは、この文だけでは判断できず、前後の文を読んで判断するしかないのが日本語です。
しかし、解釈した文をどう可視化するのかは、品詞カードと構文図(情報・助詞・述部の図)を使って表すことが可能です。もし、アの解釈であるなら、図の左の図になりますし、イの解釈であるなら右の図になります(テキスト参照)。
次に、イの文をふつうのかたちで文にして書くと以下のようになります。
「ママが男の子が買ったジュースを捨てた」
「ママが男の子が」と「が」が二つ続いてしまうので、ちょっとわかりくい不自然な文になります。このような場合は、長い名詞句のほうを先にもってきて、主語が述部のすぐ前にくるようにすると、わかりやすい文になります。
「男の子が買ったジュースをママが捨てた」
二つの文を一つにまとめる方法
次に、二つの文を一つにまとめる方法について学習します。テキスト2枚目では、「服」についての文が二つ提示されています。
「①男の子が 服を ぬぎました。
②ママが 服を 洗いました。」
ここでママが洗っている服は男の子の服です。「大きな名詞」は、①の文を「大きな名詞」にすることでも出来ますし、②の文を「大きな名詞」にすることが出来ます。
①の文で名詞句を作ると「男の子が脱いだ服」になります。これを右の②の文の「服」のところにもってきます。そうすると「ママが、男の子が脱いだ服を 洗った」になります。あとは、「が」が続いてしまうので長いフレーズを前にもってくれば完成です。
②の文で『大きな名詞』を作ると、「ママが洗った服」になります。これを左の文の「服」のところに入れると「男の子が ママが洗った服を 脱ぎました」になります。これを整えると、「ママが洗った服を 男の子が 脱ぎました」となります。
使用テキスト・問題