第19回 自動詞なのになぜ助詞「を」を使うの?(17分)

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前回、動詞には自動詞と他動詞という二つの種類があり、自動詞は、そのものの動きをあらわすときに使う動詞。他動詞は、そのものを動かす動きについて使う動詞ということを学習しました。また、自動詞は「~が+自動詞」のかたちで使い、助詞「~を」をとることはないと学びました。ところが、実は一部の自動詞の中に、助詞「を」が必要となるものがあります。今回は、「を」を必要とする自動詞と、助詞「を」の3つの使い方について学習します。

今回の学習内容

ペアの自動詞・他動詞を使って文を作ろう!

 前回、学習した自動詞と他動詞の中には、ペアになるものが沢山ありました。今回は、それらの動詞を使って、まず、文を作ってみました。
 花子さんは、「あがる」と「あげる」を使い、「たこが あげる」「男の子が たこを あがる」と作りました。さて、どこが間違っているでしょうか? 自動詞には「~ア段+る」となる動詞があることを前回学習しました。このルールを使えば「あがる」は自動詞であることがわかります。花子さんは自動詞と他動詞を逆にしてしまったことがわかります。

 二郎さんは「出る」「出す」を使って、「男の子が 出る」と「ママが 水を 出す」という文を作りました。他動詞のルールの中に「~す」となる動詞は他動詞というのがありましたから、二郎さんは正しく動詞を使ったことがわかります。

 しかし、「子どもが 出る」という自動詞の使い方に、一郎さんから疑問の声が出ました。「これだけでは、どこを出たのかがわからない」という疑問です。「たこが あがる」の場合は、空に舞う凧の様子を頭の中に描くことができますから、一応、これでよいと言えます。しかし、「男の子が 出る」の場合は、出た場所がわかりませんから、「家を出た」のか、「風呂を出た」のか、「トイレを出た」のか、はたまた「学校を出た」のか全くわかりません。このような場合は、「どこ+を」という場所をあらわすことばを、あらかじめ入れる必要があります。

助詞「を」の3つの使い方

 

助詞「を」が使われるのは、右図のような3つの場合です。このうち自動詞で「を」が使えるのは、通過の「を」と出発点の「を」の場合です。また、 この使い方やその意味をわかりやすくいあらわすものとして「助詞手話記号」というのがあります。これは、手話を日常的に使っている子どもたちのために作ったもので、助詞「を」を使うのはこの3つの場合ということを理解していると、日記などで使い方を間違えたときにも自分で直すことができます。そしてだんだんと助詞の使い方がわかってきたら、このような記号を使わなくてもすむようになります。助詞の意味がほとんどあるいは全く分からない子どもにはとても役立つ方法なので、ぜひ、使ってみていただけるとよいかと思います。

使用テキスト・問題・参考図書

【参考図書】
 助詞「を」については、以下の書籍を参考にして下さい。また、問題プリントも「動詞・形容詞活用練習ノートCD」(別売)よりプリントアウトしたり、掲載イラストを用いて新たに教材を作ることもできます。

○「きこえない子のための新・日本語チャレンジ」62頁~69頁、103頁~106、113~118、(*時間・数量に関する「を」の使い方は119~130頁を参照)

○「絵でわかる動詞の学習」24頁~26頁、64~67頁

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