このYouTube日本語講座では、これまでに、①「が」のみを使う文、②「が」と「を」を使う文、③「が」と「に」を使う文、④「が」と「と」を使う文の4つのパターンについて学んできました。これらのパターンで使う動詞は、どんな助詞を必要とするのかがほぼ決まります。
例えば「ぼくは食べる」という文の動詞は、「~を」という目的語が必要であり「ぼくはラーメンを食べる」というかたちになるのが基本的なかたちです。また、「ぼくは行く」という文の動詞は、「~に」という目的語が必要であり、「ぼくは学校に行く」というかたちが基本的な形です。
しかし、「で」はどうでしょうか? 「ぼくは食堂で食べる」とか「ぼくはバスで行く」という文を見た時、前者ではやはり「なにを?」食べるのかという肝心な部分が欠けてると感じますし、後者は「どこに?」行くのかという大切な部分が欠けていると感じるはずです。
このような例からもわかるように、助詞「で」は基本の文のかたちに絶対に必要な助詞ではありませんが、文の内容を相手に詳しく伝えるためには便利で、文をすっきりとさせるためには必要な助詞です。以下、助詞「で」の使い方について学習します。
今回の学習内容
助詞「で」を使わなくても日記は書ける
助詞の「で」は、これまでに学んできた助詞「が、を、に、と」や「は」とは異なり、文を作るうえで絶対に必要とは言えない助詞です。今回とりあげた日記(上図左側の文章)には助詞「は」は7回、「が」は2回、「を」は1回、「に」は4回、「と」は5回使われていますが、「で」は1回も使われていません。使わなくても別の言い方で代えることがことができるからです。
とはいっても、「で」を使うことで、いくつも文を並べることなく、端的にまとめて言い表すことができます。例えば、①「イオンに行きました。パパとママとぼくと弟です。」は、全員をいちいち言う必要性がないところでは、「家族みんなで」とか「家族4人で」とまとめることができます。また、「年末でした。道が混んでいました。バスに乗って行きました。」は、一つの文にまとめて「年末で、道が混んでいたので、バスで行きました。」とすっきりさせることができます。
このように、「で」は、基本的な文のかたちに絶対に必要な助詞ではありませんが、文をまとめたり、中身をさらに詳しくするために欠かせない助詞です。そこで、日記の文を、「で」を使った文に書き換えてみました。それが上図右側の文章です。このなかでは「で」が8箇所使ってあります。では、これらの「で」はどのようなときに使っているのでしょうか?
助詞「で」の四つの使い方
助詞「で」が使われるときは、図のような4つの場合です。
①ある場所で何かをするとき(例「学校で勉強する」「公園で遊ぶ」など、場所の名前+「で」となります)
②時間や数量の期限・範囲をあらわす(例「5時で終わる」「全部で100円」など、時数詞+「で」となります)
③道具・手段・材料・方法をあらわす(例「はさみで切る」「手話で話す」「木で作る」などです)
④原因・理由をあらわす(例「風邪で休む」「誕生日でもらう」など)
この4つの使い方について、子どもの書き直し日記(前掲右側の文)の「で」が使われているところをチェックしてみると、上記①場所の「で」が2回、②範囲(時数詞)の「で」が2回、③手段・方法の「で」が2回、④原因・理由の「で」が2回と4つすべてそれぞれ2回ずつ使われていることがわかります。
助詞「で」がうまく使えるようになるには、経験と習熟が必要です。文を作るうえで必須の助詞である「が、を、に、と」を身につけるのは、時間的にも比較的早いのですが(使う頻度が多いので)、「で」は文に必須でない分、使い慣れていくことが必要です。しかし、使われ方が他の助詞よりもはっきりしているので学習しやすいです。ぜひ、「で」の使い方をしっかりと身につけて日記や作文の中で使ってほしいと思います。