今回は、NHK『ろうを生きる難聴を生きる』で、2012年と2015年の2度にわたって紹介された二つの聾学校での文法指導の授業場面を紹介します。
このような指導を週1回継続することで、児童の文法力を向上させることが可能です。下のグラフは都立大塚ろう学校で年1回実施しているJcoss(日本語理解テスト)の項目別通過率です。この検査では、子どもの持っている基本的な日本語の文法力を測定することができます。
大塚ろう学校で文法指導を始めた2007年(平成19年)頃は、小低学年(1・2年)児童の平均通過率は24%(文法項目20項目中の通過5項目程度)。聴児の63%(同13項目)に比べてかなり低いことがわかります。
しかし、年々成績は向上し、8年後の2015年(平成27年)には平均通過率は61%。ほぼ聴児の水準まで伸びたことがわかります。この結果が児童の読解力そして学力を高め、結果的に大塚ろう学校小学部卒業児童の60%が大学に進学(小学部2010年卒業~2017年卒業58名中35名)するという結果につながっていると思われます。
〇今回の動画内容は以下の通りです。
①大塚ろう学校小学部(2012)・・・児童の助詞の誤り、授受文の指導授業場面より(6分)
②香川聾学校小学部(2015)・・・品詞カードを使った文の作り方、動詞の活用、助詞手話記号を使っ た助詞の指導等の授業場面(15分)