子どもたちの成長発達を支え、著しい成果をあげた教育実践に対して、それを担った優秀教職員ということで毎年、特別支援教育の分野からも表彰される先生方がいます。今年は沖縄県から二人、福岡県から一人の計三人の先生が文法指導を実践し、子どもたちの日本語力向上に貢献したということで文部科学大臣賞を同時受賞しました(特別支援教育に携わっている教員は全国で約10万人。今年表彰される先生は76人なので表彰者の割合は千人に一人以下)。
日本語文法指導についてはこれまでに様々な批判もありましたが、それらの批判は実際に自分が日本語の指導をやった上での批判というより「そんなのどうせダメ!」という、根拠のない批判がほとんどでした(日本語を自然獲得した聴者や聴覚口話法しか知らない先生方にとっては、このような視覚教材を使った方法は“なじめない方法”ということなのだろうと思います)。
しかしそのような批判に対して、実際に視覚化・構造化した方法で指導して子どもの日本語力が伸びたこと、さらにそのことによって子どもが自信を取り戻し、学ぶことに意欲的・積極的なったという“結果”で証明したこと、そしてそれを実践した三人の先生方は、文科省によって優れた指導実践であることを“認められた”ということですから、大いに自信をもってよいと思います。
因みにその三人の先生方が以前に書かれた実践の記録や手記がこのホームページにも掲載されています。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
関連する実践記録&テキスト
実践の記録
★難聴学級での実践
『将来の夢はろう学校の先生~重度難聴S子との3年半の記録』(那覇市安謝小学校難聴学級)
https://nanchosien.blog/practice-deaf-class/#educational-practice1
☆聾学校での実践
①『はじめての受動文~聾学校小2の実践』(沖縄ろう学校)
https://nanchosien.blog/passive-sentence-coaching/#passive-sentense1
『教科書の文を名詞修飾にしよう~聾学校小2の国語授業から』(沖縄ろう学校)
https://nanchosien.blog/noun-phrase/#noun-phrase
②『障害認識と書記日本語の大切さ~きこえない先生の体験から』(久留米聴覚特別支援学校)
https://nanchosien.blog/two-keyword/#disability-recognition1
文法指導関連テキスト(文科省特別支援教育・一般図書指定)
①『ことばのネットワークづくり』(難聴児支援教材研究会発行)R4年度より一般図書
②『きこえない子のための新・日本語チャレンジ』(難聴児支援教材研究会発行)R6年度より一般図書
*一般図書とは、文科省によって特別支援学級・学校で教科書の代わりに使用してもよいという認可がなされた書籍のことです。