第28回 形容詞の便利な使い方~長い文を作ろう!(13分)

YouTube日本語講座
YouTube日本語講座
この記事は約3分で読めます。

日本語では、名詞を詳しく説明するとき、名詞の前に修飾フレーズをもってきます。また、動詞や形容詞といった単語だけでなく、文も名詞にかかって名詞修飾節を構成します。このようにすることで、一つの文にまとめて表現することができます。
ところが、この「名詞句」とか「名詞修飾」といわれる文の使い方は、意外と難聴児には難しいのです。例えば、下図はJcossという文法力を調べる検査の中の問題です。

 上の問題65「四角は 青い 星形の 中にあります」が、4つの図のどれなのかを答える問題(「述部修飾」)ですが、ある聾学校小学部の児童の半数近くは②か③と答えています。どうして間違えるのでしょうか? 助詞がわかり、文の仕組みがわかれば正解できるのですが、では助詞や文の仕組みをどうやって教えればよいでしょう? 国語の教科書には書いてあるのでしょうか? もちろん、否です。国語の教科書のどこを探してもこのような文法を教えるところはありません。「そんなこと教えなくても小学生ならだれでも自然に身につけていること」というのが教科書の前提にあるので、このような基本的なことを教える箇所も教える方法も書いてありません。にもかかわらず、きこえない子どもたちは、こうした文を読んで自分で理解することを求められているわけです(おそらく小学校や聾学校の先生自身、そんなところで子どもが躓いていることも知らなければ、教え方もわからないのが実態でしょう)。

 さて、こうした子たちは、助詞がわからないので、「四角 青い 星がた 中 あります」と助詞を抜いて単語だけで理解します。そのときに、半数の子(9名)は、「四角 青い」とまず区切り、これを「四角(が) 青い」と理解したわけです。さらにその9名のうちの3分の2(6名)は、後半部分の「星がた 中 あります」を「(その四角は)星がた(が) 中(に)あります」と理解し、3分の1(3名)の子は、「(その四角は)星形(の)中(に) あります」と理解したことになります。
 つまり、二重に間違いを犯しています。最初に、一つの文を途中で区切った間違いが構文理解の上での間違いで、「青い 星形」という「名詞句」になっていることを知らないので、「四角は 青い」と考えて区切ってしまったわけです。さらにこれに加えての間違いは「助詞の使い方」がわからないための間違いです。
 そこで今回は、「名詞句=名詞の修飾のしくみ」について形容詞を例に学びます。

今回の学習内容

名詞句を作る方法

まず、テキスト1で、形容詞を使った文を提示します。例文は「荷物が 重い」。
 名詞句を作るには、「述部」の形容詞を「情報」の名詞の前にもってくるだけです。ただ、名詞の前にもって来ることができるのは、「短い形(普通の言い方)=重い」だけ。「長い形(ていねいな言い方)=重いです」の形容詞はもってくることはできません。
 
 短い形の「重い」を前にもってくると、「重い 荷物」という名詞句になります。「荷物」という名詞を詳しくしたわけです。これをわかりやすいことばで「大きな名詞」と呼びます。

二つの文を一つにまとめる方法

  テキスト2の例文では、「ボールが まるい」と「ボールが 赤い」の二つの文を作っています。これらは同じボールについて述べた二つの文です。これを一つの文にするには、「ボール」の前に「まるい」と「赤い」をもってくるだけです。ただ「まるい 赤い ボール」とはならず、前の形容詞は「テ形」を使うのがルール。そうすると「まるくて 赤い ボール」となります。そして、空白になった「述部」に単語を入れてひとつの文として完成してみましょう。「まるくて赤いボールが・・・」。これで完成です。

使用テキスト・問題

タイトルとURLをコピーしました