発達に沿った絵日記の描き方

絵日記、日記・作文
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  今回は、子どもの発達にそった絵日記の描き方について紹介します。

絵日記はなんのために描くの?

親子のコミュニケーションの材料

 子どもの経験したことで目を輝かしていたこと、心を動かしたことに共感してあげましょう。そしてそのことについて会話し話の中身(テーマ)を深めてみましょう。五感に響くもの(目、耳、鼻、舌、触感など)を大切にしてやりとりをしてみてください。子どもの頭の中でイメージがいっぱいに広がりその物事の概念が深まっていくでしょう。

経験を文字にして記録しましょう

 絵日記の行きつくところは、書記日本語の習得です。まずは、絵で、文字・単語で、経験が記録できることを経験させていきましょう、後日、自分がまたそれを見て思い出すことができますし、その経験を全く見知らぬ人へも伝えることができる。それが書記言語です。

第1段階 親子で一緒に体験したことを振り返る

 まずはその日に親子で一緒にやったことを振り返りながら言語化していきましょう。
子どもは楽しかったことはよく覚えています。親御さんも子どもがなにを楽しんでいたか、心を動かしたか、観察しておくことが必要です。子どもの言ったことに「そうだったね」と共感しながら、振り返ります。
 2歳の頃は、単語か2語文でよいでしょう。また、「おたまじゃくし」の例であれば、おたまじゃくしの概念を広げるために図書館で、「おたまじゃくし」をテーマにした絵本や『おたまじゃくしの101ちゃん』(かこさとし)を借りてきて読んであげるのもよいでしょう。
 書きことばにするとき、当然、すべてのことを書けるわけではありません。そのうちのなにを残したいか、子どもと話し合いながら絵にしたり、実物を貼り付けたり、吹き出しを入れたりしながらまとめます(下記のやりとりの例「シャボン玉」を参照)。

第2段階 経験したことを伝えて大人に描いてもらう

 このような経験を積んでいくと、親が一緒に体験しなかったことについても、少しずつ子どもが思い出しながら話せる・伝えられる力がついてきます。上の年少の頃のパパと公園で遊んだ例は、帰ってきてママに伝えたことをママが子どもからききとって書いた絵日記です。この絵日記では、文にも工夫がみられます。形容詞「とおい」の横に「ちかい」と反意語を書いたり、動詞では「あそんだ」の横に「あそぶ」と書いて、「あそんだ」は終わったこと(過去形)なのだということを教えようとしています。さらに「川に近い」「だから~」と順接の接続詞を使って、原因と結果について考えさせる意図がみられます。
 また、年中の頃の二つの絵日記は、親子で一緒に経験したことを書いたものですが、文が長くなっています。また、位置・空間関係のことばを横に書いたり、「はつもうで」では、教えたいことばを空欄にしたり、選択肢にしたりなどの工夫がみられます。

 親子で一緒にやったことを共有し、言語化して絵日記に残していく楽しさを積み重ねていくと、子どもは「ママ、きいて!」という気持ちが自然に沸き起こるようになります。こうして、園や学校であったことを親に伝え、それを文にすることができるようになってきますが、それでも一緒に経験していないことを伝えるのは子どもにとっては難しいことです。これが書記言語の難しさです。自分の頭の中で「いつ、どこ、だれ、なに、なぜ、どのように」などの5W1Hや「はじめに、次に、それから、さいごに」などの時間系列に沿って、自分で話すことを企画しなければならないからです。そこで、親は子どもの話の内容を想像し、上のようなキーワードをうまく使って、子どもの話を引き出し、文章化できるように手伝います。下の年中児の「月見団子作り」と年長児の「お面作り」は、いずれも作る過程が明確なので子どもにとっては比較的伝えやすい中身です。

第3段階 経験したことを自分で思い出して描く

  これまでに述べてきたような絵日記の活動を親子で積み重ねていくと、子どもは、文の書き方の基本的なパターンを身につけてきます。そして、自分で絵を描きたがる、自分で文を書きたがるようにもなってきます。すべてを子どもに任せるよりも、子どもが自分で書くときと子どもが話したことを親が書いてあげるときと分けるのがよいと思います。というのは、子どもに新しいことばや文法規則など教えたいこともたくさんあるからです。また、子どもに文字を書かせるときは、字形、書き順などへの配慮も必要ですから、行を分ける線を引くことやマス目を使うなども必要になってきます。

 このような順序を経て、小学校・小学部に入ると自分で(絵)日記を書くことが求められるようになりますが、いきなりすべて自分で書くのは大変なことですから、低学年のうちは親御さんも横から支え、だんだんと一人で書けるようにしていくとよいと思います。また、先生方も日々の授業やさまざまな業務に追われて忙しいでしょうが、ぜひ子どもを励ましながら書くことが好きな子どもに育てていっていただきたいと思います。

参考になる記事

☆体験したこと、「ことば絵じてん」にしてみませんか?
https://nanchosien.blog/word-picture-book/#wordpicturebook

★乳幼児期の「写真カード」の使い方
https://nanchosien.blog/photo-card/#photocard

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