文法テスト(助詞テスト・動詞テスト・形容詞テスト)をやってみよう!

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はじめに

  日本語文法の指導を行うためには、助詞動詞形容詞といったそれぞれの文法事項について、何がどのくらい理解できているか、指導前に評価が必要です。そして、その結果に基づいて個別に指導計画を立て、何から指導していけばよいか、具体的な指導内容・方法について考えます。 そこで今回は、きこえない子の文法指導で特に大切な3つの文法指導領域(助詞、動詞、形容詞)について、テスト用紙をダウンロードできるようにしました。ぜひ、対象のお子さん(小学生以上で基礎的・基本的な日本語習得に課題のある子)に使ってみて下さい。

助詞テスト

  助詞テストは、「が、は、を、で、に、へ、と」など1文字の助詞について理解度を調べます。難易度に応じて、以下の3つがあります。

助詞テスト(TKⅡ型・目標ライン80点)

 この検査には、各問題文にイラストが提示されており、子どもが回答する際の援けになります。各問題とも「が、は、を、で、に、へ」という6つの助詞から一つ選んで(  )内に記入します。80点が到達目標です。70点くらいとれていれば、助詞はかなり理解できているところまできているということなので、苦手な助詞だけを取り出してそこだけを中心に指導することも可能でしょう。その子どもの苦手な助詞やその子どもの回答傾向等は、エクセルの評価シートをみればわかるようになっています。

 また、このテストで、60~70点以下なら助詞は「あまり理解できていない」か、「ほとんど理解できていない(40~50点以下)」レベルなので、苦手な助詞だけでなく、基礎・基本から一通り助詞の指導したほうがよいでしょう。助詞の指導方法については、本HPの『YouTube日本語講座』や書籍『きこえない子のための新・日本語チャレンジ』などを参考にして下さい。

助詞テスト(TKⅢ型・目標ライン75点)

  このテストは、問題にイラストが提示されていません。助詞は「が、は、を、で、に、へ」から1つ選択する点ではTKⅡ型と同じです。絵に頼れず自分の力で文を読んでそれに合う助詞を判断しなければいけないので、TKⅡ型より少し難しいです。このテストの到達目標は75点。このレベル以上であれば、苦手な助詞を取り出して指導することも可能ですが、60~70点以下の場合は、TKⅡ型同様、助詞の基礎・基本から一通り指導したほうがよいでしょう。

助詞レディネステスト(目標ライン70点)

  これは、『きこえない子の新・日本語チャレンジ』(154~155頁)に掲載されているものと同じです。このテストは、「が、は、を、で、に、」という6つの助詞から一つ選んで(  )内に記入します。 TKⅡ型やTKⅢ型で「へ」が採用されていたのに代って「」が採用されているのが特徴です。各問題にイラストはついていません。到達目標は70点。このテストも60~70点以下の場合は、助詞の基礎・基本から一通り指導したほうがよいでしょう。

動詞テスト(目標ライン70点)

  このテストは2000年代半ばに作成されたもので、以来、改訂されておらず、かなり古いものですが、ほかにないので今でもこれを使っています。動詞の反対語、常体と敬体、自動詞と他動詞、受動文、使役文、授受文、動詞の活用など、最低必要な動詞の文法事項は網羅されています。内容的にはけっこう難しく70点とれれば合格といってよいでしょう。60点を下回るようであれば、動詞の語彙の拡充、動詞の活用の指導から、一通り指導をした方がよいでしょう。動詞の活用の指導の方法については、このHPのYouTube日本語講座を参考にして下さい。また、『絵でわかる動詞の学習』も参考になると思います。

形容詞テスト(目標ライン75点)

  このテストも2000年代半ばに作成されたものです。現在の文法指導の中では、「形容動詞」という品詞は使っていませんが(現在は「なにで名詞」という名詞扱い)、この当時はまだ、活用する品詞として扱っていました。テストの項目としては、形容詞の反対語、比較をあらわす形容詞、感覚や感情をあらわす形容詞、形容詞の活用、形容動詞などがとりあげられています。目標ラインは75点ですが、70~60点以下なら形容詞の活用をはじめ、基本的な事項から指導したほうがよいでしょう。

テスト用紙(ダウンロード)・参考記事・参考図書

助詞テスト・ダウンロード

☆助詞テスト(TKⅡ型)

☆助詞テスト(TKⅢ型  

☆助詞レディネステスト  
 

動詞テスト・ダウンロード

形容詞テスト・ダウンロード

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☆YouTube日本語講座全33プログラム 
https://nanchosien.blog/youtube-japanese-seminar/#japanese-grammar

★助詞の指導(1)~助詞理解度の評価・助詞テストを使ってみよう
https://nanchosien.blog/postposition-test/#teaching-japanese-particle1

☆動詞の指導(1)~動詞、どれくらい身についてる?

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★YouTube日本語講座第13回 形容詞ってどんな品詞?
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