はじめに


今回は、『手話絵付・反対語かるた』を作りましたので紹介します。『反対語かるた』は市販品が沢山ありますが、手話のイラストが付いたかるたはありません。例えば市販の「大きい―小さい」「長いー短い」といった反対語かるた。これらの概念がわかり、日本語も習得されていれば問題なく楽しめます。
しかし、なかには手話を使えば反対語(概念)がわかるけれど、日本語はまだまだこれからという子もいます。そんなお子さんでも楽しみながら、日本語の反対語が学べるかるたを作りました。『親子の手話じてん』の中から形容詞40語を選んで作ってみました。ぜひ、ダウンロードしてお子さんと遊んでみてください。
「比べる」力は、なぜ、大切か?~関係性理解の出発点


比べる力は、「関係性理解」の力を育てます
反対語は、「比べる」ということができ、意味として対極にあること・ものがわかるということです。通常の発達では、1歳頃になると自分と鏡に映った自分が「同じ」ということがわかるようになります。また、色や形の違いもだだんとわかるようになります。関係性理解の萌芽がこの頃にみられます。
そして、関係性を理解する力は、認知発達の中核にある力で、その後の発達と共に、分類・カテゴリー、分析と総合、帰納的推論や演繹的推論、自他の認識など、多くの認知機能の習得に繋がっていきます。
比べる力は「分類する力」を育てます
2歳を過ぎると、モノとモノを比べてその対比である「大きい・小さい」「長い・短い」などの概念がことば(手話も含む)と共にわかってきます。もの同士の「関係を見つける」ことができるようになるわけです。また、共通点・相違点がわかる力は、分類(カテゴリー化) の基礎となる力であり、 「概念形成」の中心的なプロセスとされています。 分類ができると、世界を整理して理解しやすくなるわけです。
比べる力は、数量概念の発達を促す
比較量の理解の入口です。「どちらが大きい?」「どっちが長い?」「どっちが多い?」など。こうした比較は、量の保存・系列化・数の概念形成につながり、 算数の基礎である「量の関係を扱う力」を育てます。
* Piagetの研究では、量の比較は具体的操作期の重要な発達課題とされています。
比べる力は、ことばの力とくにことばで説明する力を伸ばします
「どうしてこっちが大きいと思ったの?」→「~だからだよ」 。「どこが違うの?」→「○○と××のところが違うよ」「どっちが大きいの?」→「○○のほうが××よりも大きいよ。
比較には 形容詞(大きい・長い・重い) や 比較表現(〜より~のほうが~) が必須で、 言語発達、とくに 理由を説明する力・論理的な思考の力を伸ばします。
*Vygotskyの理論では、こうした言語化が思考を発達させる主要なメカニズムとされています。
比べる力は、推論の力を伸ばします
「AよりBが大きい」「BよりCが大きい」 → 「だからCがいちばん大きい」。このような推移律的推論(transitive inference) は、 論理的思考の発達を示す重要な指標です。比較ができることで、 理由を考えて判断する力や複数の情報を統合するなど、問題解決の力が育ちます。この力は、平均的には、幼児期後半から児童期(低学年)頃に育つ力で、この力が『比較3問題』を解く力につながります。
*『9歳の壁』って本当にあるの?~3つの検査で検証してみた。
https://nanchosien.blog/9year-old-hurdle/#wall-of–9years-old
比べる力は、自己認識や社会性の発達を促します
「自分はラーメンが好きだけど弟はラーメンは嫌いだ」「自分はこう思う。でも、○○さんはそう思っていなかった。」など、子どもは、自分と他者を比較したり、他者の思いを想像することで、「自分と他人の違い」「自分の得意・不得意」(自己概念)、「他者の心を想像」(認知的共感)する力などを伸ばします。*この力が『心の理論」(『サリーとアンの課題』)を理解する力につながります。
『反対ことばかるた』で遊ぼう!
このように、「比べる力」は、認知発達の土台となる力です。幼児期の活動の中で育てていきたい力のひとつです。このような観点から、『反対ことばかるた』を作ってみました。
「反対ことば神経衰弱」であそぼう!


『反対ことば・神経衰弱』~絵と絵のマッチング
40語の『反対ことばかるた』をダウンロードして印刷(なるべく画用紙。裏から透けて見えない)したら、パウチしてカードにしましょう。遊び方のひとつは、トランプの「神経衰弱」。一つ目は、絵だけのカードでやります。上の写真のように、二つのカードをめくり、反対ことばになるカードが出たらゲットです。添付した写真の例では、「明るい」と「暗い」のカードですからゲットできます。ご褒美に続けてもう1回チャレンジ。違ったらその場に裏側にします。どこにどんなカードがあったか、覚えておく(短期記憶)練習にもなります。40語全部でやるとカードの枚数は80枚になるので、半分(20語40枚)ずつに分けてやるとよいでしょう。カードを開いたときに必ず手話で「明るい」とか「暗い」とかやりましょう。
『同じことば・神経衰弱』~絵とことば(文字)のマッチング
二つ目の『神経衰弱』は、絵カードと文字カードでやります。これは「反対ことば」を探すのではなく、絵とことばが一致するものを探します。写真では、「明るい(絵)」とことばの方は「あかるい(文字)」ですからゲットできます。カードを開いたら必ず手話で「明るい(絵)」、文字カードなら「あかるい」と指文字と声で言いましょう。
簡単神経衰弱~①絵と絵のマッチング、②絵とことば(文字)のマッチング


簡単神経衰弱~①絵と絵のマッチング
「神経衰弱」で机上に40枚のカードを拡げるとゲームが難しい子どもの場合、40枚のうち35枚は、テーブルの真ん中に山積みにし、周りに5枚くらい表にして置きます。そして、ゲームをスタート。順番を決め最初の人が山積みのカードから1枚めくります。開いたカードと反対のカードが場にあればゲットできます。例(添付写真)では、山から開いたカードは「暗い」。場に「明るい」のカードがありますので、ゲットでき、ご褒美にもう1枚山から開くことができます。反対カードがなければその場に置き、つぎの人に交代します。
簡単神経衰弱~②絵とことば(文字)のマッチング
やり方は①と同じです。例(添付写真)では、山から開いたカードは「あかるい」。場に「明るい」(絵)がありますので、ゲットできます。
問題プリントをやってみよう!

ここでは、5枚の問題プリントを準備しました。子どもの力に合わせてやってみて下さい。
ダウンロードはこちらから
☆『反対ことばかるた』40語(PDF)
☆『反対ことば問題プリント』
