はじめに
きこえない子の中には、文字や単語を記憶する力(短期記憶)や記憶した文字や単語を使って頭の中で文を考えたり、覚えたことばを逆さに行ってみたりする力(ワーキングメモリー)がとても苦手な子がいます。(①『日本語苦手!~ワーキングメモリーが課題かも?』2025.12 ②『ワーキングメモリーが弱い難聴幼児の日本語力の伸ばし方』2026.2)
日本語の習得には、
①きこえて入ってくる音声情報(音韻情報=「音韻ループ」)と、
②その音と意味をつなぐ記憶(「短期記憶」及び「ワーキングメモリー」)と、
③覚えた語彙を関連付け持ち続ける「長期記憶」及び「エピソード記憶」(意味づけ・関連づけ等)
といった力が必要ですが、きこえない子とくに聴力の厳しい子は、①が弱いために、②に負担がかかり、そのために、日本語そのものがなかなか覚えられないということが生じがちです。
ただ、①の音声情報に苦手感があっても、代わりに視覚情報(文字・指文字・イラスト・動画などの「視空間スケッチ(メモ)パッド」)を使い、音声情報が入りにくい弱点を補うことができます。
そこで、前々回の記事『ワーキングメモリーが弱い難聴幼児の日本語力の伸ばし方』(2026.2.8)では、幼児の絵日記という親子の活動の中でのワーキングメモリー(以下WM)の伸ばし方について、具体的な方法を紹介しました。再度、まとめると以下のようになります。
| ① 体験を体験を思い出し、その場面を振り返る。何をどのようにやったか(いつ、誰と、どのように)、やって思ったこと(楽しかった、可笑しかった、嬉しかった、いやだった、悲しかった)など。 |
| ② 絵と文を描く この時、子どもの日本語力に合わせて、単語、二語文、三語文、単語の文字数、文の数などに配慮する。とくにWM苦手な子には配慮する。 |
| ③ 書き終わったら最後にもう一度、子どもと一緒に5W1Hや「始めに、次に、それから、最後に」などのキーワードを使って日記の内容を確認する。 |
| ④ 覚える単語や文を一つ選び、文カードを作る。 |
| ⑤ 子どもと一緒に単語や文を読んで覚えさせる。その場だけで終わりにしないで、夜寝るときに1回、朝起きたときに1回、学校に行って先生に覚えた文をきいてもらうなど。うまくできたら、褒める。 |
また、前回の記事では、1音節・2音節に限定された「文字カード」「単語カード」でゲームをしながら単語を覚える方法を紹介しました(下の写真参照)。詳細は前回の記事(2026.3.27)をご覧ください。


『あいうえお・五十音すごろく』であそぼう!
今回はその続編で、前回紹介した1文字・2文字かるたを大きな模造紙に並べた『あいうえお・五十音すごろく』で遊びながら、ついでに五十音順も覚えてしまおうという教材です。以下、紹介します。
ねらい
① 1文字・2文字という音韻数の少ない単語を覚えることで、「ことばを覚えられる!」という自信をつける。これは前回のかるたのねらいと同じです。
② 五十音順を覚える。(「五十音表」を頭の中にイメージできることは、とても大切です。この表が頭の中に入っていないと将来、国語辞典を使うときに困ります。)
作り方
サムネイルの写真のようなかなり大きなサイズのすごろくです。前回紹介した1・2文字単語かるたの絵カードのほうを使います(下のPDFファイルをダウンロード)。 この絵カードを「あ」から「わ」までの約40数枚を順番に並べていきます。全部を並べていくとかなりのスペースが必要になります。模造紙いっぱいくらいの広さが必要ですが、模造紙のような大きな紙がない場合は、この記事のサムネイルの写真のように紙をつないで作りましょう。
〇絵カードダウンロード
