乳幼児期の会話ってどうするの?~生活場面を通して

新生児聴覚スクリーニング・乳幼児教育相談
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はじめに

  きこえない子のことば(手話も日本語も)は、毎日の生活の中での主として大人との会話(やりとり)を通して育ちます。そして、ものごとの豊かな概念を身につけることも、身近な大人との会話の豊かさがその鍵を握っています。今回は、1~2歳の幼児の一日の生活の中で、いくつかの場面を通して、どんなやりとりができるか、その時の写真カードや絵カードの使い方など事例を引用しながら紹介したいと思います。

朝、目覚めたときの会話

 乳幼児は、夜の大体8時半~9時半位までに就寝する習慣ができると、6時半~7時半位の間に自分で起きてくるようになります。必要な睡眠が足りているので、親御さんが起こす必要は、基本的にはないと思います。寝起きよく起きてきた子に「あっ、起きたのね。おはよう!」と迎えることができるでしょう。

 添付した事例(下のファイル)のように、朝の儀式として、カーテンを開けるのは子供が起きてきて、挨拶してからと決めると、ママは「カーテン開けようね。」「ママが開けるね。」となるでしょう。カーテンを開けると日差しが差込む晴天の朝もあれば、曇っていたり、冬だとまだ日が昇っていなかったりするので暗い、そんな日もあることでしょう。「今日はいいお天気だね。晴れているね。明るいねえ。お日様が見えるね。」「今日は、もくもく、雲がいっぱい。曇りだね。暗いね。今日は寒いかなあ。」「今日は、雨がザーザー降っているね。外で遊べないね。」…

 このように毎朝天気についてお話ができます。小さければ小さいほど、同じ言葉で繰り返し語りかけていくことで、外の様子を見ながら、何を言おうとしているのか、その意味が子供につかめるようになることでしょう。そして、1、2歳児なら、トイレやおまるに座らせてみる、またはおむつを替えるという朝の手順になるでしょうが、その都度の語りかけも「トイレに行くよ。おしっこ出るかな。〇ちゃんはお姉ちゃんだから出るよ。…おしっこが出たね。(出なかったね。)紙で拭こう。捨ててね。水を流すよ。ジャーって流そう。バイバーイ。おしっこも、紙もないね。流れちゃった。手が汚いよ。ゴシゴシ手を洗おう。」

…これだけのことが毎日語りかけようと思えば、きっとできます。行動、状況に合わせて繰り返される言葉が理解につながります。毎朝の各家庭の“儀式”、ぜひ、見直してみてください。

買物に行くときの会話

 子供と買い物に行く時には、是非、写真カードや絵カードを使って出かけるようにしましょう(上図)。1歳なら写真カードのほうがイメージがわくでしょう。

 例えば子供が毎日食べるパンとヨーグルトなどの絵カードを見せて、「パンを買うよ。」「ヨーグルトを買うよ。」「お野菜を買うよ」と話してから出かけましょう。スーパーに着いたら、子供に絵(写真)カードと同じものを一緒に探そうと話してあげましょう。「パンはどこかな?パンはどこ?」と探し、見つけたら「同じだね。」とマッチングして、「パンを買うよ。」「パンをかごに入れてね。」と話して、レジに行きましょう。レジでお金を払うところを見せて「パンを買ったね。〇ちゃんが見つけたね。かごにポーンって、入れてくれたね。」と話してあげてください。袋に入れて、パンだけでも持たせてあげると、自分で買い物した実感をもつことができるでしょう。家に着いてからも、再度「パンはどこかな?」「〇ちゃんが買ったね。〇ちゃんが買ったパンはどこかな?」と確認しましょう。同様に「ヨーグルトは冷蔵庫に入れようね。」「ごはんが終わったら食べようね。」と収納する場所を確認させたり、いつ食べるのかを説明したりしてあげるといいですね。こうした絵カードを持って買い物に行く習慣を身につけるようにすると、「今日は何を買うのかな?」と子供は楽しみになり、買う食品を変えることで、語彙も増やすことができます。子供の言語力や年齢に応じて、子供に任せる食品数を増やして記憶させたり、野菜か果物か、買ったもので何を作るのか、売り場はどこか等話し合ったりしながら買い物をするといいですね。食品探しを通して売り場が分かれていることを知り、野菜、魚、肉、菓子の売り場だけでなく、冷凍食品、乳製品、乾物というように、食品のカテゴリーについても理解できる幼児に成長していくと思います。家庭での買い物体験を通して学べることは大きいです。

お風呂と洗濯のときの会話

 今は冬でもお風呂には入らず、シャワーで済ませる家庭も増えていると聞きます。しかし、大人だけであればいいのですが、子育ての時期は、是非一日の終わりを親子でお風呂につかって、遊んだり、会話を楽しんだりする貴重な時間と捉えて、楽しんでほしいと思います。お風呂につかって10まで数えるという習慣は数に親しむきっかけとなります。毎日「1,2,3…10」まで指を出して、カウントする習慣をつけることは、順序数の理解、指の形を真似することで手指の機能の発達を促すチャンスにもなります。毎日しているか、していないかは、大きな差となって出てきます。そして、小さい子供にとっては、お風呂は〇〇をして遊べるからお風呂が大好き、になるものです。お風呂につかって、遊ぶものを適度に用意してあげたいですね。そして、お風呂に入る前にその楽しみなおもちゃについて「ガーガーアヒルで遊ぼう。」「ガーガーアヒルが待っているよ。」とお話してあげましょう。
 また、「誰と一緒に入る?」と一緒に入る人を選択できる家庭であれば、こうした質問を投げるようにしていきましょう。すぐに答えられるわけではないので、「誰と一緒がいいかな。ママ?ママと一緒に入る? パパ? パパと一緒に入る?」というように指さしも含めて聞いてあげてください。そして「脱ぐよ。」という語りかけの後にも、「シャツを脱いだね。」「靴下を脱いだね。「ズボンを脱いだね。」…と一つ一つ語りかけましょう。そして、脱いだものは1歳半も過ぎれば自分でどこに置けばいいかを習慣づけることができます。洗濯機のそばにかごを置いてあげて、そこに入れるというような習慣をつけてあげるといいですね。かごの中の汚れ物を洗濯機に入れるところは、いつでもいいので必ず見せるようにしましょう。「汚いからママが洗濯するよ。洗濯機の中にポーン入れるよ。スイッチを押すよ。ピー。」電源が入り、水が出る音や洗濯が始まり、本体が動くところまで触らせたり、音に気づかせたり、動きを見せたりしましょう。もちろん、終わって、洗濯機から出すところも見せ、「きれいになったよ。いい匂いだね。」と汚い洗濯物がきれいに変わったことをきちんと知らせ、干すところも見せましょう。子供はママのすることに興味津々です。「〇〇ちゃんのズボンだね。アンパンマンのズボン、干すよ。パチン、パチン。」と洗濯バサミで留めるところを見せましょう。「パパのシャツはハンガーにかけるよ。お布団のシーツは大きいねえ。竿に干すよ。」ハンガー、竿等の名前もこうした体験を共にしていかなければなかなか身につかないものです。
 
 また、上の添付ファイルの事例のように、洗面器などで一緒に洗濯する経験も貴重です。最近の子どもたちは、洗濯は洗濯機でするということは 知っていますが、昔話『桃太郎』に出てくる「 おばあさんは、川に洗濯に行きました。」というイメージは持っていません。 「洗濯する」ということがどういうことなのか、冷たい水の中で石鹸を使って 自分で「洗う」経験は貴重です。このような経験があってこそ「おばあさんは・・」という一説が 子どもの頭の中にイメージ化できるわけです。

 このように、日々の生活の中で子どもと会話しながら、ものごと(モノ、コト)の豊かな概念を教えていきたいものです。そして、事例のように、手話があってこのような「ことば」でのやりとりが1歳代から可能になるということもぜひ知っておいていただきたいと思います。

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