このYouTube日本語講座では、これまでに、①「が」のみを使う文 ②「が」と「を」を使う文 ③「が」と「に」を使う文 について学んできましたが、今回は、④「が」と「と」を使う文について学びます。
助詞「と」には、いわゆる格助詞(江副文法では「関係助詞」と「情報助詞」に分けています)と接続助詞の二つの種類があります。
接続助詞というのは、「春が来ると、花が咲く」などのように、単文と単文をつなぐときに使われ、「~が来ると」のように動詞基本形+「と」のかたちで使われます。この接続助詞はまた別の機会に譲り、今回は、「関係助詞」と「情報助詞」の使い方について学びます。
今回の学習内容
関係助詞の「と」~相手の「と」
上の図を見ていただければわかりますが、二つの「と」の位置と、使っている手話記号・手話助詞記号のかたちが異なります。意味・用法が違うからです。
まず、「を」「に」などの助詞と同じ位置にある「と」は、手話記号はひし形の中に「と」の記号を使っています。また、手話助詞記号は「人差し指を立てて向かい合わせた記号」です。この意味は、相手を必要とする動詞(述部)に使う「と」という意味です。例えば、以下のような動詞は、相手を必要とする動詞で、一人だけでは意味的に十分に成り立ちません。
意味的に相手を必要とする動詞・・「けんかする」「たたかう」「競う」「けっこんする」「付き合う」「話し合う」「ぶつかる」など
このような動詞に使う「と」を「相手の『と』」と言います。また、助詞「を」や「に」と同じ「関係助詞」です。関係助詞というのは、情報と述部との関係をあらわした助詞ですから、必ず情報と述部をつないで読んでみた時に、意味的にすんなりつながります(つながらない時に使い方が間違っています。例えば、テキストの例文「一郎が 二郎と けんかする」では、「一郎が けんかする」「二郎と けんかする」と結んでみて正しくつながっていれば使い方は正しいことになります)
情報助詞の「と」~一緒にの「と」
これに対して、情報と述部の間ではなく、情報(名詞)と情報(名詞)のあいだをつなぐ「と」というのがあります。テキスト例文の「ママが りんごとバナナを 買った」がそうです。この文では、動詞「買う」に必要な助詞は「を」ですから、かたちの上では、「ママが~を買う」になります。しかし、買ったものが複数あるためこのまま買ったものを入れると「ママが りんご、バナナを買った」となります。必ずしも間違いではないのですが、一般的には、複数のモノを「と」でつなぎ、「りんごとバナナ」とします。この時の「と」は、情報と助詞の関係を言っているのではなく、情報間の関係を言っているので「情報助詞」と呼んでいます。
そしてこの「りんごとバナナ」をまとめて一つの大きな名詞としてくくると「ママが~を買う」という「が・を」を使った文型になることがわかります。