高度・重度難聴の幼児にとって、日本語の習得とくに動詞の活用や助詞の習得は、大きな課題になることが多いです。それは、軽度・中等度難聴児や人工内耳装用児のように聴覚を活用し、発音・発語を通して日常会話のなかで日本語を習得することが難しいことがその大きな要因の一つです。
とくに、手話を日常的に使っている場合は、視覚的に日本語の単語や文を習得する機会を日々の生活の中で意図的に増やしていくことが必要なので、絵日記や絵本はもちろん、ふだんの生活の中で出来るだけ日本語を指文字や文字を使うことを多くしていくことが大切です。
さて、今回は、そのような日本語習得の課題の中で、とくに助詞をどのように習得していくかという点から、幼児でもできそうな教材を考えてみました。
助詞「が」と「を」を使った文を作ろう!


助詞は、それだけでは意味を持たず、文の中で初めて意味を持つ語(機能語)です。ですから、文を通してその使い方を学ぶことになります。では、助詞の中でどの助詞を学ぶ必要があるのか、というと、まずは、文を作るときに重要な役割を果たす助詞、とりわけ「が(は)、を、に、と」あたりになるかと思います。これらの助詞は、私たちが文を作るときに必ず知っておく必要がある助詞で、その文のかたちを知っておかないと文が作れません。
因みに、日本語には上図のように5つの基本の文型で成り立っています。その中の1番目から3番目がよく使われる文型です。そこで今回、とりあげたのが「~が~を+動詞」というかたちの文の使い方の学習です(上図参照)。
人気キャラクター「ノンタン」と「うさぎさん」を使ってあそぼう!


幼児でも興味をもって学べるように、作家きよのさちこさんの絵本(偕成社)から、おなじみのキャラクター「ノンタン」と「うさぎさん」を借りてきて作ってみました。
場面は、①「ブランコ」と②「おいかけっこ」です。
ブランコの場面では、ノンタンをうさぎさんが押したり、逆にノンタンがうさぎさんを押すことで、どちらが何をしているかを文字カードを使って学ぶことができます。
二つ目の「おいかけっこ」(上図)では、ノンタンとうさぎさんが追いかけっこをする場面。ノンタンをうさぎさんが追いかける、ノンタンがうさぎさんを追いかける場面がつくれます。
教材は、下からダウンロードできますので、ぜひ、作ってみてください。それぞれパウチしてマグネットを裏に貼り付けると、磁石のつくボード上でいろいろと動かしてあそべます。登場人物を増やしたり、場面を変えたりするとさらに楽しく遊べると思います。
☆場面イラスト