2歳頃の子どもの心理。なんでもかんでも「いや!!」一度気に入らないと「いや!」の連発で困ったという親御さんは多いのではないでしょうか? のどが渇いて飲み物を欲しがる。「じゃあ、牛乳飲む?」と出しても「いや!」。「じゃあ、リンゴジュースにする?」「いや!」「じゃあ、何にする?」「いや!」気に入らないとなったら「いや!」を言い続ける2歳児(もちろん2歳児限定というわけではありません。子どもによっては3歳頃になる子もいます)。「まったくもう!」・・・ママのストレスもたまりそう。こんな姿に困り果てるのが2歳児ですね。
以下の事例も難聴2歳児さんの育児記録から。
「最近、フォークやスプーンを自分で使えるようになってきた。食事の時も自分で口に運べるようになってきた。今までは、できていても自分でやらずに無理に持たせると投げ捨ててしまい、やろうとしなかったけど、最近は、逆にこちらが手伝おうとすると嫌がって自分でやりたがる。何種類かスプーンがあることがわかっていて、小さいスプーンを渡すと「大きいの!」と言い出す。小さいスプーンだとたくさん口に入らないので気に食わないらしい。おなかがすいていると大きなスプーンに山盛にして口に入れ、これでもか、これでもか・・・とたくさん口に詰め込んでしまう。「アムアムしようね」と横で言ってもおかまいなし。多すぎて飲み込めずにぼろぼろこぼして、自分で怒る・・」(2歳5ヶ月) |
きこえる子も難聴の子も1歳を過ぎると写真や鏡に映っている自分とママがわかるようになってきて、他人と違う「自分」というものが芽生えてきます。そして自分のやりたいことやほしいものがはっきりしてきて、「~したい!~ちょうだい!」と強く主張するようになってきます。
しかし、まだ自分のからだの機能や気持ちをコントロールできるほどにはからだも心も発達していないので、ついつい自分のしてほしいことだけを強く言い張り、それでいて思うようにいかなくて癇癪を起こす。「もうっ!わがままばかり言って!!」としかりたくなるのがこの時期。いわゆる「いやいや期」とか「魔の2歳児」とか言われる頃です。このような時期の子どもにどう対応すればよいのでしょうか?
「魔の2歳児」にどう対応する?
まず、やらせてみましょう
まず、なんでも「自分で!自分で!」とやりたがる時は、まずやらせてみることが大事。そして、その時の声掛けも大事です。「〇〇ちゃんが自分でするんだね。うん、わかった」自分でやりたがっていること、「自分で履きたいだね」「自分で食べたいんだね」「自分で~したんだね」など言語化してあげましょう。そして「できないだろうに・・」と思っていてもある程度まかせましょう。子どもからやっぱりできないとママに手伝ってほしい動作、目線、手を引っ張るなどのサインを出して来たら、ことばで「〇〇して~」、「うん、わかった。手伝うね」と子どもの要求を表現してあげましょう。時間のある時は、子どもから要求を出してくるまで待つのがコツ。
しかし、毎回はそうやっていられない。時間が限られているときは、ちょっと工夫が必要ですね。頭から「今日は時間がないからママがやるよ」というのではなく、ちょっと一芝居が必要。スマホを見ながら「あっ、大好きな〇〇先生が、はやくおいでよ~ってメールがきたよ。」とか、好きな園のブランコの写真を見せながら「ブランコが〇〇ちゃん、一緒に遊びたいから来て~と言ってるよ」とか、子どもが興味をひきそうなことを“餌”にして迫真の演技でせまってみてはどうでしょうか。
対比して考えらえる力の発達を使って
2歳後半頃になると、それまでは、一つのことしか考えられなかったのに、二つのものをくらべて考えたり、ふたつのものを同時に思考にいれてそれらを関係づけて考えられるようになってきます。
「大きい 小さい」「長い 短い」「いっぱい 少し」などものごとを対比的に比べる力の発達です。そして、「大きい、強い、たくさん」などへのあこがれも強くなってきます。例えば、好きなイチゴを食べる時、五つ入ったお皿と二つ入ったお皿を見せて、「どっちがいい?」と尋ねると、2歳児さんは多い方を選ぶでしょう。ケーキでも、大きいケーキと小さいケーキがあれば、大きいケーキをほしがるのではないでしょうか。
先の事例のAちゃんもまさにそんな時期に来ているようです。こうした時期を迎えると、子ども達自身も「お兄ちゃん、お姉ちゃん」として、つまり大きいものとして認められることを喜ぶようにもなってきます。そんな大きいものにあこがれる時期であることをヒントに、子ども達への関わり方を工夫してみると、やっかいだった対処が少し楽になるもしれません。「できたね。お兄さんだね。」「お姉さんだから大丈夫。きっとできるよ」。こんな励ましのことばをテコにして、「がんばるぞ!」という気持ちを育てていけるとよいですね。
それから、お友達とおもちゃのとりあいで、相手にどうしてもその物が譲れない時、代わりのもの、例えば子どもにとって2番目に大事なものを手渡すことを促してあげたり、粘土のようなかたまりであれば、その内の少ない方を分けてあげたり・・・大きい方を好む子どもの思いを受け止めてあげながら、『少し譲る』そんな関わりができるように援助してあげるといいと思います。そして、その譲れたことを「お兄ちゃんだね。○○ちゃんは 大きくなったね!」と手話や身振りと併せてほめて、認めて、伝えてあげることが大事です。子ども達にとっては「大きい!お兄ちゃん!」と言われることが何よりのほめことばなのですから。
「少し待つ」気持ちも育てたい
また、おもちゃを手に入れられない側の子には、「少し待つ」ことの大切さをこの機会に知らせていきましょう。『少し待つ』そんな経験がこの時期の子ども達には大きな自信、成長につながります。1歳では、待てなかったことも2歳になってくると、少し「待つ」気持ちも育ってきます。 私たち大人が、大人だから当たり前にできる「譲る気持ち、我慢して待つ気持ち、相手を思いやる気持ちなどを、私たちは子どもを「いい子」に育てようとついつい、わがままばっかり言って!」としかりたくなりますが、子どものわがままや自己主張をすぐにガツンと頭ごなしに正論をぶつけて解決しようとしても、まだまだ子どもは、そこまでいっていない。抑えて引っ込めたはずの子どものわからんちん行動も、もぐらたたきのようにすぐにまた出てきます。自分で自分の行動をコントロールできるようになるためには、けっこう時間がかかりものです。「~だけど、~する」という気持ち(自制心)が育ってくるのは、4歳くらいまではかかるのが普通です。ですから、大人を困らせることはまだまだ続く。でも、その時期その時期の発達の特徴を知っていれば、大人はそれなりに覚悟して、コツをつかんでかかわることもできるかもしれません。こんな話をヒントに、余裕をもって対処できるようになればいいなと思います。