講演会のお知らせ「ろう・難聴児の保護者への支援のあり方~テキサス州”デフメンター”の実践から」山田茉侑

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メンター(mentor)とは、一般的に相談を受ける(=指導・支援する)側の立場の人のこと、メンティー(mentee)とは相談する(=指導・支援を受ける)側の立場のことを言いますが、デフ・メンターとは、就学前の0〜5歳の子どもとその家族を訪問し、手話やろう文化、ろうの子どもとの関わり方を、カリキュラムに基づいて指導する、聾者のことです。

 今回、講演される山田茉侑さんは、「デフメンターは、聞こえない子どもたちにとっても、その保護者にとっても、大きな希望となる大切なロールモデルです。また、子どもたちの言語や社会性の発達だけでなく、自己肯定感を形成することにも大きく貢献していると感じております。」とのこと。講演会では、具体的な支援の様子や、保護者の方との関わりの中で得た気づきなどを交えて話していただけるそうです。  

家庭訪問という支援の必要性

 ところで、日本では、まだまだ「家庭訪問支援」という形態での乳幼児相談支援は一般化しておらず、保護者が聾学校や療育機関に出向いて相談することが当たり前になっていますが、赤ちゃんを連れて出かけるという、保護者の物理的・経済的・心理的負担等の大きさを考えると、支援する側が出向くという支援形態は、もっと充実する方向で考えられてよいと思います。
 実際に、私自身が聾学校の相談支援センターにいた頃、県外の方から「双子の片方が聴覚障害と言われている。他にも障害があり、とても聾学校まで連れていくことはできない。聾学校の方から訪問に来てもらえないか?」という電話をいただいたことがあります。そこでその県の聾学校の乳幼児相談担当者に電話をつないだところ、「そのような支援の形では応じていない」との返事。以来、私がいた聾学校では、必要に応じて可能な限りの家庭訪問支援をしてきましたが、制度化されていない限界があり、なかなか前に進むことができていないのが現状です。

ロールモデルとしての当事者・本人との出会いの大切さ

 さらにもう一つ大切なことは、「当事者・本人」と直接出会うことです。聾や難聴の人たちを知らないきこえる保護者は、ロールモデルとしての当事者・本人と出会うことで、きこえないということは不便なことはあるけれど決して不幸なことではないことを知ることができます。社会の中で自立して立派に生きているきこえない人たちを知ることで、我が子の将来をそこに見出すことができます。そうした当事者・本人との関わりの中で「聴覚障害」という障害のマイナスイメージが払しょくされていきます。ある人はそれを次のようなことばで語っています。

「はじめは『きこえる人に近づけることが大事』と思い、それができないと苦しかったけれど、聾の人との関わりの中で、きこえないということはどういうことなのかが理解できるようになり安心できるようになりました。それから子どもの見方、子どもとの関り方が変わりました。」 (乳幼児相談修了文集)
「ろうの先生たち(=当事者・ロールモデル)は耳がきこえないだけで、とても魅力的な先生たちでした。先生たちの言葉はいつも私の心に突き刺さるものがありました。そんな先生たちと話しているうちに、きこえや音声といった表面的なことにとらわれている私がとても恥ずかしくなりました。そんなことよりも、もっと深いところに目を向けるべきだと思うようになりました。」 (「手話で育つ豊かな世界」75頁)

講演会日時

7月13日(日)14時~16時30分

場所

関西学院大学東京丸の内キャンパス 定員50名

対象

聾教育関係者・保護者・手話指導関係者

オンライン配信・参加費

 オンライン同時配信あり。参加費無料

申込先

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